子供泌尿器科について

子供泌尿器科イメージ1

親にとって、いつでもわが子の健康は気になることです。
とりわけ、子供の主な悩みといえば、男の子の包茎の問題、オネショの問題であると言えます。
当院では特に男の子の小児泌尿器科の相談が多いです。また男女問わず、夜尿症(おねしょ)のお子様も来院が多いです。特に男の子の場合、母親では、男性器の状況については、よくわからないことも多く、様々な医療情報がインターネット上でも乱立しており、皆様が混乱しているようです。

特に重要な疾患は下記のものです。

  • 包茎の問題
  • 夜尿症(おねしょ)の相談
  • 陰茎(おちんちん)や精巣(こう丸)の問題
    ※これは 奇形の疾患、停留精巣、マイクロペニス、埋没陰茎、尿道下裂などがあります。
  • 昼間の尿失禁、トイレ習慣について

などです。

まず、気になればお気軽にご相談の上、お子様と一緒に疾患に向かい合って、良い解決策を考えていきましょう。

男の子外来

お母さんにとっては異性である男の子の性器の問題はわからないことだらけです。ママ友などのうわさに左右されて正しい知識がない場合も多いので注意は必要です。 当院では男の子でも立派な男性でありその健やかな成長はとても重要と考えています。 したがって、

  • 「小児包茎」についての診察、治療などの助言を行います。
  • 外性器、精巣などの正常な発達があるかどうか、専門的に診断します。
  • 家庭でも簡単にできる包茎対処について助言、指導いたします。

※診断のため、御両親にお子様のオシッコしているときの様子を詳しく聞くことがありますので、ご了承ください。

オネショ外来(夜尿症)

おねしょ、とは医学用語では現在では5歳未満のお子様の夜寝ている間の尿もれのことですが、「5歳以降で月1回以上のおねしょが3ヶ月以上続く」場合には「夜尿症」と言われる状態とされます。

したがっておおむね5歳くらいの年齢が、おねしょについては大切なボーダーラインなのかもしれませんのでご参考になさってください。

夜尿症(おねしょ、nocturnal enuresis NE)の診療ガイドラインの案内

2021年の夜尿症の定義について

2020年の国際小児禁制学会の診療指針では、夜尿症は

  1. ①断続的な尿失禁は眠っている夜間に発生する場合
  2. ②5歳以上で、病因や付随する日中の症状に関係はない

となっています。

日本の夜尿症のガイドラインの2021年では

  1. ① 5歳以上の小児の就寝中の間欠的尿失禁
  2. ② 昼間尿失禁や他の下部尿路症状(LUTS)の合併の有無を問わない
  3. ③ 1ヶ月に1回以上の夜尿が3ヶ月以上続く
  4. ④ 1週間に4日以上の夜尿を頻回、3日以下の夜尿を非頻回とする

となっています。

そして下部尿路症状(LUTS)とは覚醒時の尿失禁・尿意の切迫感・排尿困難・排尿回数の減少(1日3回以下)または過多(1日8回以上)とされています。

夜尿症自体も

  1. ① 単一症候性夜尿症(睡眠中の尿失禁のみの場合)
  2. ② 非単一症候性夜尿症(昼間のLUTSを合併)

に分類され、治療指針が異なります。

一般的に多い、普通の夜尿症は①の単一症候性夜尿症です。この場合には、生活習慣や行動療法でも改善が乏しい場合、積極的治療を提案します。デスモプレシンやアラーム療法が第一選択となります。早期改善の期待の場合には、両方併用も検討することは可能です。
また②の非単一症候性夜尿症は便秘との併存が多く、神経発達症群、慢性機能性便秘症併存が多いので、しっかり併存疾患の精査と治療が必要です。まず便秘の加療から開始になる症例も少なくありません。昼間の下部尿路症状の対応で抗コリン剤の内服も提案されます。
単一症候性夜尿症のデスモプレシンの治療は商品名ミニリンメルトと言われる薬ですが、この治療は受け入れやすく実践は臨床現場もしやすいのですが、アラーム療法となると、言うは易しなのですが、実際は家族含め、夜間の起床が辛い、アラームの感度の問題があって異常に警告音がなったりして実際はかなり大変です。おねしょ外来でもアラーム療法をきちんと完璧にできているご家族は少ないのではないかと推測されます。また個人的な意見になりますが、子供の成長に夜間にしっかり眠ることは大変重要です。身体や脳の発達にも重要です。したがって真夜中に覚醒してしまうことの成長面でのマイナス面の作用も現実的には検討しなくてはいけません。このようになると、たかがおねしょ治療ではなく大変に考えるべき点が多いのです。

子供のおねしょ(夜尿症)の仕組み

まずは、子供の場合には二つの仕組みが考えられます。

・夜間に体内で作られる尿の量が多すぎる場合。
そして
・膀胱に十分尿をためることができない場合。

であります。

ただ他の基礎疾患でおねしょ(夜尿症)になっている場合もあるので注意が必要です。

子供はみんな夜尿症(おねしょ)で困っているのでしょうか?

現在の日本の報告では、5~15歳つまり小中学生で大体80万人くらいのおねしょ(夜尿症)症例があるのではないかと推定されていますので、決して少ない疾患ではありません。日常にありふれたことと言えます。
決して、自分だけと、思い込んだりしないようにしましょう。

夜尿症の子供への影響は?

子供も立派な人格をもった、小さな大人です。子供なりにうっとうしい思いもしますし、ストレスもたまりますし、自尊心や自信にも影響が少なからずあります。ご本人の健やかな成長のためにも、できるだけの夜尿症へのサポートが望ましいと言えます。
また同時に、子育てしているご両親にとっても、夜尿症は、確かに寝具の洗浄などもありますので日常生活には煩わしい一面もあり、決して嬉しいものではありません。

夜尿症の治療法

❶ 生活リズムの改善

小児の場合、この生活の見直しは大変重要で、うまく訓練すれば生活習慣改善だけで夜尿症の30%程度の症例が治るとも言われています。
ポイントは、規則正しいストレスの無い生活を心がけること。そして就寝の三時間前程度には夕食は済ませおき、夕食から就寝までは摂取の水分はコップ一杯程度にとどめ少し制限すること(脱水時は除く)があります。また就寝中の身体の冷えが、夜尿症の原因にもなるので暖かくすることも大切です。また塩分の多い食事やおやつも尿量の増加などから夜尿症の増加になると言われていますので注意しましょう。

❷ アラーム療法

アラーム療法という尿を感知する装置を用いた治療がありますが、おねしょを感知してアラームで起床させ、その繰り返しで膀胱の容量が増して畜尿能力がアップすると言われています。しかし、夜間起床してしまう、デメリットはある(夜間の子供の熟睡は成長にはとても大切なので)側面もあり、また機材の準備から装着など家族全員がかなり手間をかけて就寝準備することなど、一定以上の熱意がないと現実的には大変だろうと思われます。

❸ 薬物療法

したがって、一般的には、尿の量を調整するお薬や、一部は膀胱の容量を大きくする手助けをする薬などが用いられますが、前者の薬は抗利尿ホルモン剤と言われるもので、最近は口腔内で容易に溶解する形態の薬剤が好まれ効果も良好なため、夜尿症治療のガイドラインでも推奨されています。まずこの抗利尿ホルモン薬剤が第一選択で現在では標準的な治療法と言えます。後者の薬は抗コリン薬剤と言われるもので大人でも頻尿のお薬などで使用されますが、小児でも昼間の尿漏れなどの併発もあるような症例では有効と思われます。水分制限がむつかしいお子様などで選択する場合もありますがこれらの薬剤を診察しながら相談の上で試していくことになります。一部三環系抗うつ薬なども用いるケースもあるようですが、重症な不整脈のリスクなどから使用推奨しない国もあって、私自身も小児への使用は良くないものであろうと考えています。

最後に

ご両親と本人、そして当院とともに一緒になって夜尿症に向き合っていきましょう。お気軽にご相談ください。

小児包茎外来治療

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当院では、お子様やご両親が安心できる環境の中で、外来通院だけで包茎治療を提供しております。手術がどうしても必要な症例を除き、包皮への過剰手術は性感鈍麻や将来的な陰茎の審美的な問題をおこすことも少なくないとされています。また乱暴な処置は苦痛もありお子様のトラウマになるばかりではなく、将来に癒着や炎症によりかえって病状が悪化することも珍しくありません。手術の絶対適応のお子様については速やかに手術を推奨しますが、そうでない軽症から中等度の症例については通院での処置と、自宅での外用薬の処置(丁寧に指導いたします)にてほとんどの症例で包茎の改善治癒がみられています。

あくまで主役はお子様です。苦痛や恐怖も無いように最大限配慮いたします。もしお悩みの親御様がおられたら是非とも当院を受診してください。適切な診断で評価して、お子様の成長のためできるだけ最適と思われる処置を提供いたします。悩むくらいであれば、まず気楽に当院で専門的な診療を受けてください。多くのお子様がクリニックを気に入ってくださいます。
当院が皆様にとって安心できる診療場所となり「男の子のおちんちん」の専門家である当院担当医師が責任を持ち対応いたします。是非ご相談ください。

とっても大切な、こう丸のお話、停留精巣について

男児の疾患でこの停留精巣はとても大切なもののひとつです。 おちんちん(陰茎)にはよく目が行きますが、こう丸(精巣)の発達もとても重要です。 停留精巣とは陰嚢(いわゆる、金玉の袋)の中に精巣(こう丸)が入ってない状態つまり陰嚢が空っぽの状況です。もともと胎児の時期には精巣は女児の卵巣と同じ位置にあるのですが、出産までに男性ホルモンの影響などを受け陰嚢まで通常であれば下降してくるのです。

男児の先天的異常の中で頻度の高い疾患で生まれた男児の100人で約3人に認められます。生後6ヶ月までは自然に精巣が下降する可能性があるので待機して観察することができます。1歳の時点では100人の男児のうち約1人は停留精巣のままですので、1~2歳くらいで治療を行うことになります。日本では、手術的な精巣下降の手術、精巣固定手術を行うことが一般的です。諸外国ではホルモン治療もありますが、手術より成績が良いとは言えず、幼少時にホルモン使用することの弊害もはっきりしておらず、手術療法が推奨されます。

この停留精巣の問題点は、10~30%くらいの症例で、将来に男性不妊症、精子が少ないなどの状況があるとされている点です。また停留精巣の場合は、精巣の悪性腫瘍の発生率が、通常の10倍くらい高いとも言われており、いずれにせよ、男児の発達にとって極めて重要な停留精巣なのです。

睾丸、精巣は精子と男性ホルモンを産生する男にとってはとっても大切な場所、臓器です。ご両親もお子様の、この陰嚢の状況については気を払って、精巣の状況について観察しておかれることが望ましいと言えます。

小児男児の亀頭包皮炎について

頭包皮炎は男児には、頻度の高い、よく見られる疾患です。通常男児は包茎であり、亀頭部と包皮の間に隙間があり、恥垢と言われる垢が溜まったり、尿の遺残(おしっこの残り)などが生じやすいため、これらがきっかけになり、皮膚炎から亀頭と包皮の炎症が起こります。通常は、おちんちんを痛がる、ちんちんをなぜか頻回に触っている、おしっこすると痛がっているなどの症状が多く、両親が陰茎部を見て、陰茎に赤みがある、腫れている、形がおかしい、などの所見で気づくことも多くあります。
治療としては、非常に炎症が強い場合には、飲み薬の抗菌剤と、外用の抗菌剤の併用で観察して局所の清潔保持の指導や、包皮の扱いについて指導することとなります。軽症例では、外用だけで十分に対応可能であります。
怖い病気ではありませんが、放置や炎症悪化にて、亀頭と包皮が強固に癒着や変形したり、重症では、外尿道口周囲も炎症の影響で狭くなって、おしっこが出にくく(排尿障害)なったりするので要注意です。