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テストステロン(男性ホルモン)について

メンズヘルス、男性科の診療において、そして、何より男性の健康にとって、特に重要なのがテストステロンというホルモンです。これはメインになる男性ホルモンです。

男性ホルモンは、アンドロゲン(androgen)とも呼ばれるステロイド・ホルモンで、メインになるテストステロンのほか、ジヒドロテストステロン(DHT)、デヒドロエピアンドロストロン(DHEA)、アンドロステロン、アンドロステンジオン(androstenedione)、エピアンドロステロンなどがあります。


そして、その主要な男性ホルモンのテストステロンはいくつかの形態に分類されます。アルブミンというタンパクと結合しているものが全体2~3割であり、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)や他タンパクとの結合型が5~7割でありますが、生物学的活性のある、活性型のテストステロンであるフリー(遊離)テストステロンは全テストステロンのうちわずか1~3%のみです。この遊離テストステロンが最も働きが強いテストステロンと言って良いと思われます。

ここでは、男性ホルモンの中でも最も重要なテストステロンについて述べたいと思います。

テストステロンは、男性の場合はほとんどが精巣(睾丸)で産生され一部が副腎から作られます。女性の場合は卵巣、脂肪、副腎で産生されますが男性よりも産出量はかなり少ないです。


テストステロンの働きについて

一般的には、マッチョな体など筋肉隆々の逞しい男らしい体の元になるイメージなどでしょうか。その通りで、テストステロンは骨や筋肉を作りあげるのに大切な働きをします。また同時に体脂肪を減らしていく働きもあります。つまり中年太りなどは、テストステロンの働きの逆の印象であります。

しかし、テストステロンの働きはそれだけではありません。テストステロンは、人の性格や考え方、そしてその人の社会性にも多大で強烈な影響があることが最近の研究で明らかになってきました。すなわち、大胆でリスクを恐れない、決断力のある、男らしい行動といった映画のヒーローのような生き方、そのような精神や行動の源になっているのがテストステロンだとわかってきたのです。また好奇心や挑戦する心、冒険心、などいわゆるチャレンジ精神にもこの主要な男性ホルモンであるテストステロンが大きく関与しているのです。逆に言えば、テストステロンの低下が、このような勝気や挑戦する心を男性から奪いとってしまう可能性があるのです。全くバイタリティーの無い元気の欠けた男性はテストステロンが低下しているかもしれません。

人類の進化にとって欠かせないリスクを恐れない心もまたテストステロンが生み出すものの一つです。そして、挑戦から成功体験を得ることでテストステロンはさらに上昇することも分かっています。挑戦と勝利がさらなる次の高みへ男を持ち上げるという感じです。 素晴らしい働きがあると思いませんか。まさに男らしさの根源とも言えるホルモンです。メンズヘルス、そして、男性科の外来ではこのテストステロンを知ることが極めて重要であることは容易に想像されると思います。


また、テストステロンは同時に、多数あるステロイド・ホルモンと同様に、健康な身体と精神を維持するためにも極めて重要な役割を果たしています。

テストステロンが年齢とともに低下しますと、筋肉量と筋力も落ちることなどで基礎代謝の低下が起こります。中年になって筋力トレーニングをしても筋肉が落ちる人や筋トレの効果のでにくい場合にはテストステロンの測定がお勧めされます。さらにテストステロンの低下は肥満、糖尿病や循環器病の発症、動脈硬化のリスク増加につながっていくことが最近の医学研究でエビデンスが示されています。

非常に重要な生活習慣病である糖尿病もテストステロンと強く関連があります。テストステロンの糖代謝への効果としては、アンドロゲン受容体とテストステロンが結合することによって、糖の代謝において極めて重要なGlut4遺伝子の発現が増加することも判明しています。また糖の取り込み促進遺伝子の活性化も起こすことが分かってきました。したがってテストステロンの低下によって、糖尿病になりやすい体内の環境に変化してしまうといえるのです。Ⅱ型糖尿病の患者さんにテストステロンの補充療法を行うことで、インスリン感受性が改善し、内臓脂肪と血中脂質の低下が見られた研究もあります。とても大事なホルモンであることが理解できたと思います。

テストステロンは、男性の健康のために一番大切なホルモンであると私個人は確信しています。男性科の診療を行う医師にとってテストステロンは最重要ホルモンであります。

糖尿病や肥満の予防、うつ傾向の改善、男性更年期の治療、より活発でアクティブな男性の人生のために、テストステロンの血中濃度を正常に保つことは、男性科診療、メンズヘルスのポイントの一つです。血中テストステロン値は人間ドックや職場の健康診断などで測定されることはまずありません。したがって当院の様に、メンズヘルス外来、男性科外来を行っているところで一度はテストステロンの測定をしておくことは大変有意義であると言えます。

男性諸氏の原因不明の体調不良、筋肉・筋力の低下、肥満、血糖値やコレステロール値の上昇、うつ状態の気分不調や性欲や活気の低下など、思い当たることはございませんか?

気になった男性にはぜひともテストステロン値の測定を推奨します。その結果によっては男性の心身をトータルで改善しあらゆる不調を根本から改善することができるかもしれません。皆様のより幸福で充実した人生の為にも大切なことです。お気軽にご相談ください。


テストステロンをいかにして増やすか?

テストステロンが男性にとって、健康で充実した生活にとって非常に重要なホルモンであることが理解できたと思います。では、男性諸氏にとって、メンズヘルス、この男性科の診療においてもテストステロンをいかにして増やすか?が問題になってきます。ここでは日常のテストステロンを増やす生活習慣について述べたいと思います。

筋力トレーニングを行う

いわゆる、筋トレです。大きな筋肉を中心とした適切なウエイトトレーニング、筋力トレーニングがテストステロンや成長ホルモンの分泌を促すことが分かっています。運動経験の有無で個人差がありますが、何も運動習慣の無い方でも自重のみでの筋トレ、スクワット、腕立て伏せだけでも効果があると思います。男性ホルモンへの影響のみならず、糖代謝の改善、基礎体力向上など他にも多数メリットがあります。体型が逞しく変化することも自信につながることも多いものです。

良質な睡眠をとる

睡眠は非常に重要です。いたずらに睡眠時間を削って働きすぎ過ぎないことが肝要です。当然良質な睡眠のためには、精神的な安定、環境作りも大切になってきます。

タンパク質を十分摂取する

筋肉づくりにも欠かせないタンパク質ですが、身体作りの基本のため十分なタンパク質を摂取することが体内を同化(アナボリック)の状態、つまり成長しやすい状況にするために必要です。体がタンパク質不足で、飢餓状態を感じると十分なテストステロンが分泌されません。

日光浴のすすめ

過剰な紫外線は禁止ですが、適度な日光浴はテストステロンの上昇に寄与するとの研究結果があります。一日15-20分程度の日光浴でもテストステロンの分泌が2割程度上昇するとの結果でした。またビタミンDの生成に日光浴は必要です。そしてうつ病の予防効果もあり睡眠リズムを整えるためにも、特に朝日をしっかり浴びることなどが重要視されています。日常生活で全く太陽の光を浴びていない人もいるかもしれませんので、自分の生活環境を見直してみましょう。

過剰なダイエットは避ける

一部のアスリートの行うような過剰なカロリー制限のダイエットは、テストステロンの減少につながります。体脂肪が極度に少なく引き締まった体は男性にとっても格好良い憧れの体型ですが、過剰なダイエットでは、テストステロンの原料になるコレステロールの過度の低下などや体内の飢餓状態から、テストステロン低下が起こります。したがって、運動選手などのダイエット時においても、適切な良質の脂質摂取は大切なポイントとなってきます。

亜鉛やマグネシウムなどのミネラルを適切に摂取する

一般的には鉄分やカルシウムが大切なのは知られていますが、亜鉛については様々な遺伝子発現に必要不可欠な重要なミネラルです。同時にマグネシウムなどのミネラルも認知度はマイナーですが適切に摂取することがとても重要です。ただ各種サプリメントの宣伝の効果を過剰に妄信して、亜鉛などの過剰摂取は、他の銅などのミネラル不足につながったりする懸念もありますので適度な摂取量を守りましょう。

背筋を伸ばし、公明正大に堂々と

背筋を伸ばすということは外観でしゃんとした印象を与えるのみならず、良好な姿勢を保持する習慣だけでもテストステロンの上昇が起こるといわれています。またテストステロンは男性の様々な良い効果をもたらすホルモンではありますが、また同時に非常に社会性を与える重要なホルモンでもあるのです。リーダーシップにもかかせないホルモンです。不正やインチキを憎み、世の為、人の為に生きることが男性ホルモンの高い人間の行動パターンになりやすいのです。逆にそのようにふるまうことが、テストステロンの上昇にもつながっていきます。勇気や挑戦心を生み出す素晴らしい男性ホルモン、テストステロンですが、ポジティブフィードバック、つまり正義感をもって社会の為に一生懸命に生きることがさらにテストステロンを上昇させ、ますますその人物のリーダーシップを高める、いわゆる勝負の勝者がテストステロンの上昇を得てさらにますます次の勝負に挑むことになる、ウィナーズエフェクトが、まずは生活や生きる姿勢の改善から起こると言うことなのです。